2020 年 9 巻 1 号 p. 1-5
小児期に造血細胞移植を受けた長期生存者における様々な移植関連晩期合併症が報告されている。これらの晩期合併症は全身放射線照射(total body irradiation,TBI)や大量化学療法で構成される移植前処置によるものと慢性移植片対宿主病(graft-versus-host disease,GVHD)の影響によるものに大別される。特に乳幼児期に移植を受けた場合,TBIを用いない移植前処置であっても,移植前処置の影響は甚大である。小児においては移植が成長に及ぼす影響を把握し対処する必要がある。進学,就職,結婚など人生の節目を経て,次の時代を担う社会人として長い人生を歩むために,移植を経験した子どもたちをフォローアップし支援することは重要な課題である。また,長期フォローアップ体制の充実と並行して,移植関連合併症を軽減・回避するための努力を惜しむべきでない。