人文地理学会大会 研究発表要旨
2009年 人文地理学会大会
セッションID: 508
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第5会場
ヒマラヤの環境・社会をめぐる変化とトゥーリズムの展開
―ネパール北西部マナンの事例―
*森本 泉
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抄録
ネパール北西部のヒマラヤに位置するマナンにおいて、これまで住民達は地域外に生活の糧を求め、ネパールの近代化と共に都市に移住するようになっていった。過疎化が進む一方で、当地域を通るトレッキング・ルートはネパールで最も人気のあるルートとして外国人トゥーリストをひきつけるようになった。本研究では、当地域において標高が高く乾燥した自然環境の中でいかにトゥーリズムが展開してきたのかを明らかにし、環境と社会の変化にどのように作用してきたのか検討する。 調査の結果、近年気温が上昇しているため氷河が後退して水源が枯渇し、また過疎化による人口減少で耕作放棄地が増大する中、トゥーリズムは経済機会として期待されていることが分った。トゥーリズムが展開する過程で、栽培技術の普及によりこれまで導入されていなかった野菜類が外国人トゥーリスト用に栽培されるようになり、これらが地元の人々の食生活に加わるようにもなった。そして、トゥーリストの増大に原因が求められる森林減退により森林利用が規制されたため、ホテルでは太陽光発電や太陽熱温水器等が導入されるようになった。更に安定した電力供給の為に地域社会が出資して水力発電所を建設している。他方で、4、5年後に車道が開通する予定で工事が進められている。トレッキング・ルートを車道として整備する為、トレッキングの魅力減退が予測され、地域活性化の手段としてのトゥーリズムへの期待に陰りが生じている。
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© 2009 人文地理学会
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