人文地理学会大会 研究発表要旨
2013年人文地理学会大会
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一般研究発表
風景のディペイズマンと場所のモビリティ
*山野 正彦
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p. 56-57

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抄録
本報告は、リオタールの「風景(paysage)の離郷depaysement」という発想を起点とした、景観と場所、場所/非場所の両義性、定着と移動についての省察である。グローバル化、メディアの膨張、技術支配による主体の危機、合理性の貫徹、時間の節約(リオタールがdevelopmentと言い表すものの要求)の思想に対応するための方策として、他者、他文化との包摂を目ざしたコミュニケーションの遂行のために、風景の離郷の発想が有効であることを提起する。これはクレスウェルのいう、モビリティをめぐる議論――定着主義者と移動主義者の場所概念の議論に関係する。この新しい発想に伴い、場所や故郷についてのこれまでの概念は再検討を余儀なくされる。グローバル化時代における、選べない恣意的条件としての「場所」や「故郷」からの脱出が企図される。レルフが「場所のセンス」として挙げた第3のものの敷衍、すなわち狭いローカリズムを脱して、地球規模での差異と相互作用に目を向けることが転換点となる。
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