比較生理生化学
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総説
ナミハダニの光周性機構
後藤 慎介遠藤 淳
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2015 年 32 巻 3 号 p. 109-117

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抄録
葉が白っぽくなるとともに葉組織がかすり状に抜けた植物や,クモの巣に包まれたようになって枯れている植物を見かける。これは多くの場合ハダニ類による被害である。ハダニ類の中でもナミハダニTetranychus urticae(英名 the two-spotted spider mite)は1000種以上の植物を加害する害虫として知られ,古くからその生態や生活史が調べられてきた。近年はこれまでの知見をもとに,次世代シーケンサーを用いたゲノム解読やRNAseq解析などといった網羅的解析も行われるようになってきた。ナミハダニで得られてきた豊富な知見とこれらの新技術を組み合わせれば,これまで長らく謎であった「光周性機構」の一端を明らかにできるのではないかと期待している。本稿では光周性モデル生物としてのナミハダニにスポットを当て,これまでの知見と最近の私たちの取り組みを通して,光周性の生理学的機構を紐解いていきたい。
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© 2015 日本比較生理生化学会
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