比較生理生化学
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総説
ホヤから見つかったペプチドと受容体からわかったこと
佐竹 炎
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2021 年 38 巻 3 号 p. 115-123

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抄録

ホヤは脊椎動物とともに脊索動物門の一員であり,脊椎動物の姉妹群である。このような系統分類学的に重要な位置を占めることから,ホヤの一種であるカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis Type A,または,Ciona robusta)は発生学やゲノム科学で重要なモデル生物として古くからよく研究されている。一方,生殖や摂食といった生物の基本的な行動やそれらを制御する神経系や内分泌系で機能する神経ペプチドやペプチドホルモンについてはほとんど研究されていなかった。ここ10年で,カタユウレイボヤのペプチド,受容体,および,それらが制御する生殖細胞の分子機構が明らかになってきた。本稿では,カタユウレイボヤのペプチドと受容体の一次構造や生理機能,および,それらから見出されたホヤと脊椎動物との共通性と特異性を述べていく。

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© 2021 日本比較生理生化学会
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