抄録
松峰山は大館市において、古い歴史を有する信仰の山の一つであり、松峰神社を中心に山中に密教関係の遺跡が存在する。それらは古代・中世に縁起をもつと考えられるが、その時代のことを示す資料には、「松峰山縁起」と「伝・松峰山出土 三鈷鐃」がある。
また、松峰山信仰について信頼できる最も古い史料に、慶長6年(1601)の「比内之庄 御代官所知行方」と同年11月16日付の「秋田実季知行宛行状(写)」がある。
ここでは、日景健(大館市文化財保護審議委員)が永年にわたり修纂し、私註を加えて修成した「松峰大山に関する私的資料集」をもとに、松峰山が有する信仰の山としての歴史と、史跡指定の対象となる遺跡について述べてみたい。