弘前医学
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原著
ヒアルロン酸合成抑制剤である 4-メチルウンベリフェロンおよび 4-メチルウンベリフェロン誘導体である 4-メチルエスクレチンの胸膜悪性中皮腫に対するヒアルロン酸合成阻害効果の検討
中井 款吉原 秀一諸橋 一石戸 圭之輔佐々木 睦男
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2008 年 59 巻 2-4 号 p. 118-127

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抄録

 ヒアルロン酸 (HA) は,細胞外マトリックスを構成する主要成分であり,細胞の接着能や遊走能,腫瘍の転移にも関与している.我々は 4-メチルウンベリフェロン (MU) が HA合成阻害を来たし,癌の転移を抑制する効果があることを示した.今回我々は,悪性中皮腫に注目し,MU と MU誘導体である 4-メチルエスクレチン (ME) の悪性中皮腫に対する HA合成阻害効果の検討をした.MU は NCI-H2052培養培地中の HA を control群より約 80%,ME は約 60% に抑制した.MU および ME 存在下に培養した NCI-H2052 の接着能は control群よりそれぞれ 70%,50% に阻害した.遊走能はそれぞれ 70%,60% に阻害された.in vitro で MU および ME は悪性中皮腫細胞において HA合成阻害効果を示し,ME でより HA合成阻害効果がみられた.その結果,悪性中皮腫患者の今後の治療の一助となることが期待された.

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© 2008 弘前医学編集委員会
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