弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
原著
助産所における臍帯血採取の取組み
千葉 貴子大森 厚子高橋 賢次柏倉 幾郎
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2009 年 60 巻 1-4 号 p. 12-17

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抄録

 全ての血球の源となる造血幹細胞を豊富に含む臍帯血は,幹細胞研究,再生医療研究さらには臍帯血移植へとその応用が進み,今や単なる医療廃棄物ではなく,社会の多様な需要の中でその重要性は益々高まっている.本研究では,造血幹細胞の基礎医学研究に資した臍帯血採取を実施した単一助産所における過去10年間の取組みから,助産所の臍帯血採取施設としての可能性の可否を含め,その内容を検討した.研究には,1998年から2007年の単胎正期産児を経膣分娩した585名を対象とした.その結果,助産所出産の母子の概要は,国内における平均的な出産と大差なかった.平均臍帯血採取量は 54.2 g であり,重回帰分析の結果,胎盤重量,胎盤体積,出生体重,羊水混濁及び臍帯の長さと採取臍帯血量との間に関連が見られ,これまでの報告と一致した.以上の結果から,助産所においても安全かつ確実に臍帯血採取が行えることが実証された.

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© 2009 弘前医学編集委員会
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