弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
原著
生体内必須微量元素が好中球の活性酸素種産生量に及ぼす影響
伊藤 治幸高橋 一平 松坂 方士李 相潤板井 一好福井 真司浜田 菜穂子齋藤 百合子梅田 孝中路 重之
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2012 年 63 巻 2-4 号 p. 85-95

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抄録

 近年,必須微量元素の欠乏が酸化ストレスを介して生活習慣病や老化に影響を与えている可能性が指摘されている.そこで,本研究では,地域一般住民 606名 (男性225名,女性381名) を対象として,生理的な濃度における生体内必須微量元素と好中球の平常時活性酸素種産生量 (Basal ROS産生量) の関係について疫学的に調査・検討した.その結果,男女共に,Se の血中濃度が高い人ほど好中球の Basal ROS産生量が少ない傾向がみられた.一方,Cu,Zn,Fe については好中球 Basal ROS産生量と関連はみられなかった.したがって,生理的な濃度範囲内であっても Se は好中球の ROS産生に対して抑制効果を示し,好中球による酸化ストレスを抑えている可能性が示唆された.一方,Cu,Zn,Fe については,生理的な濃度範囲内であれば好中球の ROS産生量に影響を与えない可能性が示唆された.

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© 2012 弘前医学編集委員会
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