2014 年 64 巻 2-4 号 p. 170-175
国立大学法人弘前大学医学部附属病院の On-Board Imager による画像誘導放射線治療を行った症例 61例を対象として,照射部位及び上肢固定具毎におけるセットアップエラーを分析し,planning target volume (PTV)-margin を算出した.セットアップエラーの平均値は 3 mm未満で,臨床的に問題はないと考えられた.TV-margin の最大値は,乳房で 5.9 mm,前立腺で 5.5 mm,骨盤腔で 6.5 mm と算出され,このことより PTV-margin は最大 7 mm に設定するのが妥当である.上肢固定具の比較において,セットアップエラーの平均値を比較すると,その差は 0.3 mm であり,固定精度はほぼ同程度であった.利便性や費用を考慮すると,シェルの使用よりも市販の固定具の導入を検討すべきである.今回,弘前大学医学部附属病院独自の PTV-margin が算出され,今後の治療計画の照射野の基準になると考える.