2016 年 67 巻 1 号 p. 61-68
近年の放射線治療計画における簡便な検証方法の一つとして,ソフトウェアを用いた独立検証装置が開発されて
きた.従来の標準的手法として用いられるクラークソン法は複雑な照射野形状に対応しきれているとはいえないため,新たにレイトレーシング法を導入することで高精度の独立検証装置開発を試みた.照射野面積計算にレイトレーシング法を導入した独立検証ソフトウェアを新規に開発した.照射野の大きさおよび形状によってグループ分けした複数の照射野群について,照射野面積および MU値の精度を,電離箱線量計を用いた実測データとの対比を含めて検討した.
レイトレーシング法による照射野面積の算出精度はクラークソン法による結果と比較して有意に優れていた.MU値は照射野形状によっては一部実測データと一致しなかった.その改善にはコリメータからの透過線量や被照射体の不均質補正を演算するプロセス追加が大きな役割を果たすと思われる.