植生史研究
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福井県鳥浜貝塚から出土した縄文時代草創期および早期のクリ材の年代
工藤 雄一郎鈴木 三男能城 修一鯵本 眞友美網谷 克彦
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2016 年 24 巻 2 号 p. 59-68

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抄録
1965 ~ 1985 年にかけて発掘調査が行われた福井県鳥浜貝塚では多数の木質遺物や自然木が出土し,1990年に行われた自然木の樹種に関する調査によって縄文時代草創期の爪形文・押圧文土器期に属する可能性があるクリ材が19 点,縄文時代草創期の多縄文土器期に属するクリ材が38 点確認された。また,1996 年に行われた木製品・加工木の樹種同定では,縄文時代草創期に属するクリの加工木が8 点確認された。鳥浜貝塚のクリ加工木が確実に縄文時代草創期に遡る資料だとすれば,遺跡出土炭化材を除いて最古のクリ材利用の事例となり,クリ自然木とともに正確な年代を明らかにすることは重要である。そこで本論文では3 点のクリ自然木および7 点のクリ加工木の14C 年代測定を実施した。その結果,自然木はいずれも縄文時代草創期の12,740 ~ 11,835 cal BP であり,加工木は縄文時代草創期(12,035 ~ 11,250 cal BP)および早期後葉(7940 ~ 7675 cal BP)であることが明らかになった。
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© 2016 日本植生史学会

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