植生史研究
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福井県三方低地帯南部における完新世湿地林の復元と古生態
辻 誠一郎植田 弥生木村 勝彦
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1995 年 3 巻 2 号 p. 61-70

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抄録
三方断層に接する三方低地帯南部の約3500-3000年前の木本泥炭(E層)と約2000年前以後の草本泥炭(B層)から得られた木材化石群を記載し,分類群および幹・枝材と根材の同定にもとづいて低地中央部から縁辺の植生を復元した。E層上部の木材化石群は,ハンノキ亜属とトネリコ属を主とする湿地林が低地に成立していたことを示した。低地におけるこの森林は約3000年前,何らかの理由によって衰退した。B層の木材化石群はハンノキ亜属を主とする湿地林が低地の一部に発達していたことを示した。E層とB層いずれも低地縁辺の木材化石群は,上述の湿地林要素とスギやクロベといった針葉樹の共存を示した。
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© 1995 日本植生史学会

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