植生史研究
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東北地方における最終氷期のトウヒ属化石のDNA による種同定
小林 和貴吉川 純子鈴木 三男
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2000 年 8 巻 2 号 p. 67-80

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抄録
最終氷期の日本列島にはトウヒ属の樹木が優占していたが,その種については様々な見解がある。トウヒ属の化石は主に毬果の形態で種が同定されるが,同定される種は研究者によって必ずしも一致してこなかった。そこで,葉緑体DNAの塩基配列によるトウヒ属化石の同定を試みた。試料は東北地方に分布する最終氷期の地層から採集したトウヒ属の毬果、針葉、材および種子の化石である。調査に用いたDNA領域は、日本に分布する現生トウヒ属7 種2 変種の塩基配列を比較して選定した葉緑体DNA上の2 つの遺伝子間領域(各約200 塩基対)である。PCR (polymerase chain reaction) 法を用いて、化石DNAの塩基配列を決定した。青森県西津軽郡木造町の出来島海岸で採集した毬果5個と同三戸郡新郷村の間明田で採集した針葉を付けた1 枝で、その塩基配列を決定することができ、毬果5 個は現生アカエゾマツと、針葉は現生ヤツガタケトウヒおよびヒメマツハダと塩基配列が一致した。毬果形態では、出来島の化石は2 個がアカエゾマツ、1 個がヒメバラモミに同定され、残り2 個は風化が激しく同定が出来なかった。間明田については同一層準から採集した毬果がヤツガタケトウヒに同定された。形態形質による同定とDNAによる同定は、ヒメバラモミに同定された出来島の1 毬果を除いて一致した。今回の結果は、毬果および針葉化石でのDNA解析の成功を示すとともに、植物化石種同定におけるDNA の有用性を示した。
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© 2000 日本植生史学会

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