植生史研究
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日本産クサスギカズラ目とユリ目の花粉形態
半田 久美子辻 誠一郎田村 実
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2001 年 9 巻 2 号 p. 85-125

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抄録

主に日本に産するクサスギカズラ目とユリ目の14 科47 属106 種の花粉形態を光学顕微鏡で観察した。花粉粒は単粒で,長径は19.2 μm(Chionographis japonica)から196.0 μm (Lilium longiflorum)。概形はふつう楕円体から球形,まれに鈍四面体(Dianella),四面体型球形(Chionographis),鈍三角柱(Tofieldia japonica の一部),またはミカンの房形(Allium, Nothoscordum)。花粉型は,ふつうは単溝型,まれに無口型(Aspidistra, Smilax,Tupistra),全口型(Heterosmilax, Trillium),2 溝型(Tofieldia, Uvularia),4 孔型(Chionographis),1 三叉溝型(Dianella),2 三叉溝型(Tofieldia japonica の一部)。表面の彫紋はふつう網状紋から小穴紋,まれに乳頭状紋,いぼ状紋,棍棒状紋,顆粒状紋,刺状紋。発芽溝はふつう花粉の両端まで長く伸び,縁は肥厚しない。発芽溝には,花粉の彫紋に似た紋様または顆粒状紋を持つ口蓋が発達することがある。これらの形質から,クサスギカズラ目とユリ目の花粉を20 タイプに分けた。このタイプ分けに基づき,クサスギカズラ目とユリ目の現在の分類を再評価した。

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© 2001 日本植生史学会
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