抄録
Nymphaea lotus L. の花粉形態を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡をもちいて記載した。花弁状のものを含む様々な雄ずいから花粉粒を採取して比較したところ,その形や大きさ,発芽口,彫紋には大きな変異が認められた。また原始的な単子葉植物に見られるzonisulculate型の発芽口が認められた。これをもとにスイレン科を,zonisulculate型の発芽口をもつ他の双子葉植物(エウポマティア科,モニミア科)および単子葉植物(サトイモ科, ヤシ科, ユリ科,タヌキアヤメ科,ラパテア科,ススキノキ科)と比較した。しかし他の形態学的な特徴とあわせて考慮しても,これらの分類群の間に直接的な類縁は認められなかった。