HISPANICA / HISPÁNICA
Online ISSN : 1884-0574
Print ISSN : 0910-7789
ISSN-L : 0910-7789
論文
変化に至る過程を描く
―『嵐がやってくる』と『ペドロ・パラモ』―
仁平 ふくみ
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 2017 巻 61 号 p. 209-233

詳細
抄録

本論は、アグスティン・ヤニェス (Agustín Yáñez, 1904-1980) の『嵐がやってくる Al filo del agua 』(1947) とフアン・ルルフォ(Juan Rulfo, 1917-1986)の『ペドロ・パラモ Pedro Páramo 』(1955) の比較研究である。『ペドロ・パラモ』が先行する文学作品と断絶した作品ではないことを示すことを目的とした。 どちらの小説も革命など歴史的に重要な出来事そのものではなく、その予兆を描くという着想を共有していることに注目した。その舞台として、二人の作家が生地であるハリスコ州を舞台にした点、村人たちの声を描写してゆく手法に共通点があると指摘した。また、決定的な変化に至るまでの過程の分析として、ヤニェスの小説を軸としながらカトリックの支配とその崩壊の象徴的表現として鐘の音を取り上げた。

著者関連情報
© 2016, Asociación Japonesa de Hispanistas
前の記事
feedback
Top