HISPANICA / HISPÁNICA
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書評
ネブリハの中のラテン的なるもの
安達 直樹
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2024 年 2023 巻 67 号 p. 1-23

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抄録

ネブリハは、まずもってラテン語学者であり、スペイン人文主義の先駆者であった。1481年の『ラテン語入門』は、中世後期のラテン語教育を断罪し、人文主義の思想に基づく新たな方法Nova ratio によってこれを刷新するための文法教材であった。一方、『カスティーリャ語文法』は、中世末からルネサンスへの過渡期を生き、その時代的精神を体現したネブリハの思想が、古典語にではなく日常の言語に関して作用したものである。この俗語の文典化も本質的にラテン的な試みであると言える。ネブリハの多岐にわたる業績のうち、古典と俗語の両文法の基底をなす文法観について、古代のクインティリアヌスの思想、auctoritas「 (文学的)権威」の概念を中心に問う。

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© 2023, Asociación Japonesa de Hispanistas
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