人と自然
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兵庫県日野神社社叢における27 年間の森林群落動態
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2007 年 18 巻 p. 21-28

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抄録

兵庫県南西部の日野神社社叢において27 年間の群落動態と人為的管理の影響を調査した.1978 年から 2005 年の間に木本種の種数・個体数の減少が確認された.下層では照葉樹林構成種のマンリョウや低木層のサカキ,クロガネモチ幼樹の個体数が減少した.人為的管理の行われた場所では侵入種シュロの増加が確認された.一方,管理の行われた場所では小・中径木の成長量が増加した.ツル切り,落葉・落枝の除去といった管理は樹木の生長を促すものの,下層における侵入種の増加を招く可能性が示唆された。市街地に囲まれた日野神社 社叢では,林分構造が周辺環境に強く影響されるため,自然性の高い群落を維持するには林冠構成種の植栽,土 壌水分条件の改善,侵入種の除去,林床の保全・管理など,より積極的管理が必要であると考えられる.

© 2007 兵庫県立人と自然の博物館
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