人と自然
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最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 加藤 茂弘, 生野 賢司, 廣瀬 孝太郎
    2026 年36 巻 p. 1-15
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    鳴門海峡の淡路島沿岸には和泉層群の砂岩泥岩互層からなる波食棚が分布し,地層の走向と直交する波状起伏が発達する.本研究では,この波状起伏と各岩石の未風化で新鮮な岩石強度との関係を検討した.はじめに海岸線に沿う地形断面図を作成して波状起伏の形状を明らかにし,岩石種や断層破砕帯の分布を記載した.次に砂岩と砂質泥岩のそれぞれでシュミットハンマーによる反発係数(R値)を求め,既存の関係式を用いて一軸圧縮強度(Sc)に換算した.波食棚の波状起伏は岩石種との対応が明瞭であり,尾根部が砂岩および砂岩優勢部に,谷部が砂質泥岩および砂質泥岩優勢部に対応する.Sc値による岩石強度と波状地形の標高間には弱い相関が認められ,Sc値の比較から,砂岩の岩石強度は砂質泥岩の岩石強度よりも大きいと判断された.以上から,波食棚の波状起伏の形成に砂岩と砂質泥岩の岩石強度の違いによる制約があったことが推定された.
  • 木村 亮太, 高橋 鉄美
    2026 年36 巻 p. 16-20
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    ドジョウはアジア東部に分布する淡水魚である.日本には本種の在来系統が生息するが,大陸から導入された外来系統による遺伝的撹乱が広まっている.また,大陸原産のカラドジョウや,日本北部に分布するキタドジョウも全国に導入されている可能性がある.しかし,外来の種や系統の分布、および交雑に関する知見は不足している.このため本研究では,これまでそれらの情報がなかった兵庫県の武庫川からドジョウ類を採集し,核DNAのrag1の塩基配列を使って,その遺伝的組成を調べた.その結果,ドジョウの両系統のホモ個体の他に,ヘテロ個体も見つかった.外来系統のアリル頻度は10.9 ± 0.2%だった.カラドジョウとキタドジョウのアリルは見つからなかった.遺伝子型頻度がハーディー・ワインベルグ平衡から有意に逸脱したことから,系統間で自由交配をある程度妨げる機構が存在するか,外来系統の導入がごく最近で,まだ交配があまり進んでいない可能性が考えられる.
  • 中村 泰之
    2026 年36 巻 p. 21-38
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    南西諸島におけるニホンイタチの移入史と移入集団の現状,そして在来の陸生動物への潜在的な影響についての文献情報をまとめた.ニホンイタチの移入は1930年代後半(吐噶喇列島)から1977年(沖縄諸島の阿嘉島)まで,39ないし40島で実施された.その目的はおもに農業被害をもたらすネズミ類への対策であり,奄美群島の一部では咬症被害をもたらす毒ヘビのハブ対策であった.ニホンイタチは21島(上三島の黒島,吐噶喇列島の臥蛇島など5島,奄美群島の喜界島など3島,沖縄諸島の座間味島など4島,宮古諸島の宮古島など5島,八重山諸島の波照間島,大東諸島の北大東島と南大東島)で今も生息しており,さらに2島でかつて定着していた情報がある.移入されたニホンイタチが捕食を通じて各種の在来陸生動物の個体数減少や分布の局所化,あるいは個体群の消滅に関与したことが示唆されている.
  • 山内 健生, 村上 広将, 酒井 香
    2026 年36 巻 p. 39-42
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    2009年7月から9月にかけて,富山県の山地の標高330 m,664 m,および1,120 mにおいて,タウンズ型白色マレーズトラップを用いてカッコウムシ科の甲虫を捕獲した.その結果,69個体が捕獲され,それらは4種に同定された:キオビナガカッコウムシOpilo carinatus,ムナグロナガカッコウムシO. niponicus,クロダンダラカッコウムシStigmatium nakanei,ホソカッコウムシCladiscus obeliscus.捕獲個体数の84.1%はクロダンダラカッコウムシであった.しかし,クロダンダラカッコウムシは標高1,120 mではまったく捕獲されなかった.
  • 山内 健生, 藤谷 俊仁
    2026 年36 巻 p. 43-46
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    2009年7月から9月にかけて,富山県の山地の標高330 m,664 m,および1,120 mにおいて,タウンズ型白色マレーズトラップを用いてカゲロウ目の成虫と亜成虫を捕獲した.その結果,59個体が捕獲され,それらは5科12種に同定された.捕獲個体数がもっとも多かった種はフタバコカゲロウBaetiella japonicaで,全個体数の27.1%を占めた.タテヤマヒメヒラタカゲロウRhithrogena tateyamanaの成虫が9月に捕獲されたことから,本種は9月にも羽化すると考えられた.
  • 青山 茂
    2026 年36 巻 p. 47-51
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    2023年と2024年の8月と9月に越冬地へ向かう秋の渡りで神戸市に渡来したコルリLarvivora cyaneの攻撃的行動を4例確認した.1例目は同種間での闘争で,幼鳥雄と他の雄が互いに攻撃し合った.2例目は同種に対する追いかけで,雌が約7 m離れた性別不明の他個体に向かって飛び,追い払った.3例目はヒトに対する攻撃的行動で,採食中の幼鳥雄が観察者の頭部に向かって飛び,途中で転回した.4例目は他種の鳥に対する追いかけで,幼鳥雄が自分より大きなクロツグミ幼鳥やマミジロ幼鳥をビーと鳴きながら追いかけたという情報を聞き取りによって得た.これらの攻撃的行動はさらなる渡りの前に餌を確保しようとする一時的ななわばり行動として発現したのかもしれない.
  • Shigeru Aoyama
    2026 年36 巻 p. 52-57
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    Siberian blue robin, Larvivora cyane, has been treated as an insectivore, which mainly forages on insects and spiders. Regarding plant prey items for this species, previously there has been only one report that a juvenile male fed on Gamblea (Evodiopanax) innovans fruits on the ground. Here, foraging behavior of this species on two kinds of plant prey items during the autumn migration was reported based respectively on photographs provided by a collaborative birder and on field observations by the author in the Rokko mountains, Hyogo Prefecture, Japan. In the photographs, a juvenile male fed on a seed of the Japanese mallotus, Mallotus japonicus, on the ground under the tree. In the field observations, a juvenile male fed on a fruit from the giant dogwood, Cornus controversa, under the tree. Furthermore, another juvenile male and an adult female were both observed holding a fruit in their bills. Therefore, when combined with previously reported findings of foraging on G. innovans fruits, five individuals of this species have been observed to forage on three kinds of plant prey items. This is one of the few documented instances of frugivory and seed consumption in this species.
  • 一町 裕子, 黒田 有寿茂, 石田 弘明, 中濱 直之
    2026 年36 巻 p. 58-66
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    生息域外保全は,生息域内保全とともに生物多様性保全事業において重要な役割を果たしている.兵庫県立人と自然の博物館では1992年の開館以降維管束植物の生息域外保全を実施しており,現在は400種を超える種数を維持している.本稿では,種子の保存から播種までの作業を通じて得られた種子植物81種126件の発芽率について報告する.栽培施設の遮光ハウス室等で播種および発芽数のカウントを行った結果,全体で平均38.60%の発芽率であった.その中には,日本では兵庫県内にしか生育していない種や,兵庫県内で生育地数が5か所以内に限られるものも多く含まれている.当館における種子の保管から播種までは,発芽にとって最適ではない可能性も十分にある.しかし,限られた予算や人員の中で多数の種を扱う場合においては,一連の種子保管から発芽までの条件と発芽率は,植物の生息域外保全事業を実施するうえで重要な知見となるだろう.
  • 伊藤 凛, 武田 悠佑, 太田 吉厚, 辻 大和
    2026 年36 巻 p. 67-73
    発行日: 2026/01/31
    公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    2023年から2024年にかけて,宮城県牡鹿半島でセンサーカメラを用いた動物相の調査を実施した.期間 中,39種の動物(哺乳類11種,鳥類28種)を記録した.牡鹿半島の動物相の種の豊富さは東北地方の他 の調査地と同程度だったが,記録された動画の74%はニホンジカCervus nippon(以下シカ)に偏っており, 近年の半島内のシカの生息数の増加と分布拡大を反映していた.シカは秋に多く撮影され,これは交尾期の 活動性の高まりを反映していると考えられた.日内では夜間の撮影頻度が高く,半島内で実施されている有 害駆除を避けるためと考えられた.食肉類の一部は,シカの撮影頻度が高い場所で多く撮影された.植物生 産性の高い場所に両者が引き寄せられた可能性,もしくは食肉類がシカの死体を食物として利用している可 能性が示唆された.シカの撮影頻度と撮影された動物種数に関連はなかったが,シカが動物相に与える影響 については,より長期的な調査を踏まえて判断すべきである.
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