2017 年 5 巻 1 号 p. 17-22
ブタ骨格筋の部位の違いによるミオシンの加熱ゲル形成能の特性を明らかにすることを目的として、腰最長筋(M. longissimus lumborum、LL)、半膜様筋(M. semimembranosus、SM)、大腰筋(M. psoas major、PM)および横隔膜脚筋(Diaphragm、Pars muscularis、DM)ミオシンの加熱ゲル形成能ならびにそれらに及ぼすLLとDMアクチンの影響を調査した。いずれの部位のブタミオシンの加熱ゲル形成能はpH 5.7付近で最大となったが、剛性率の最大値は筋肉の部位によって大きく異なっていた。また、LLアクチンの添加はDM以外のミオシンの加熱ゲル強度を高めたが、DMアクチンにはこのような効果は認められなかった。いずれのアクチンもミオシンと相互作用していることは光散乱によって確認された。部位の違いでミオシンの加熱ゲル形成能、さらにこれに及ぼすアクチンの影響が異なることが明らかとなった。