2020 年 4 巻 1 号 p. 48-49
国家試験委員会は今年度,例年実施している保健師国家試験の全問調査と環境調査,および夏季研修で分科会を担当した.今年度の特別活動として,保健師国家試験出題基準について会員からの意見を募るため調査の実施,および厚生労働省から当協議会への委託事業:保健師助産師看護師国家試験評価改善事業に携わった.
全問調査は,厚生労働省医道審議会保健師助産師看護師分科会K・V部会が開催される3月第1週までに本協議会意見書を間に合わせるため,会員校の皆様には日程的にご無理をお願いしている調査である.参加状況は漸増傾向にあり昨年度は57.9%の参加があった(図参照).調査締切後の週末に委員会を開催し,週明け早々に厚生労働省看護課に意見書を届けることができている.
保健師国家試験全問調査 参加状況の推移
調査結果の精査・検証は3日間連続の集中討議となるため,分析力だけでなく体力勝負でもあるが,問題のブラッシュアップスキルの伝承の場でもあり,委員の団結力と親睦が高まる機会でもあり,貴重な場であると実感している.今年度新たな試みとして,委員以外で国家試験問題のブラッシュアップに関心をお持ちの先生に参加いただいた.今後もブラッシュアップを学ぶ機会となるよう,委員会への参加希望に応えていきたい.
2. 夏季研修における分科会保健師国家試験対策の充実に向け「出題基準改正後の問題の傾向と対策」と題した分科会を担当した.全問調査結果を報告,会員校での国家試験対策の現状を情報交換,国家試験問題の作問演習を通して日ごろの教育活動を考えるという意図で企画した.45名の参加者が8グループに分かれ作問結果を発表し合い共有することにより,作問時の留意点を学び合えた.概ね好評であったが,時間が足りず期待に応えられない部分もあり,作問経験別のニーズに合わせた企画が今後の課題となった.演習成果の問題は,委員会でブラッシュアップし厚生労働省Web公募システムに登録している.
3. 国家試験出題基準見直しに関する調査指定規則改正に合わせて見直しが予定されている国家試験出題基準について,会員校総意による意見書を提出することを目的とし,会員校を対象に調査を実施した.年度末の多忙な時期にも関わらず多くの会員校からご協力をいただいたことに感謝申し上げたい.第106回国家試験に係る調査結果と合わせて総会の場などで概要を報告させていただく.
4. 厚生労働省委託事業の実施今年度末に厚生労働省から委託を受けて「保健師助産師看護師国家試験評価改善事業」を実施した.保健師国家試験の過去の問題について,出題方法や形式,問題文の情報などを評価し,量的には助産師・看護師国家試験の問題との比較検討を行い,質的には保健師国家試験問題としての良問の選定とその出題傾向を分析し,今後の試験問題作成への提言をまとめた.報告書など結果はHPなどで報告させていただく.
来年度も保健師国家試験に関する情報発信を積極的に行いたいと考えている.国家試験問題内容調査は会員校のご参加なくしては成立しない調査であり,皆様方のご理解とご協力に心から感謝申し上げ,今後も引き続きのご協力を願い申し上げたい.
担当:坪川トモ子(新潟青陵大学看護学部)
板垣昭代(獨協医科大学看護学部)
大谷喜美江(日本赤十字豊田看護大学)
大西真由美(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
齋藤公彦(福山平成大学看護学部)
播本雅津子(名寄市立大学保健福祉学部)