教育課程委員会では,2017年度から公衆衛生看護技術の体系化に向けて取り組んでおり,2021年度から2022年度は高齢者保健活動における公衆衛生看護技術(案)について会員校等を対象としたWEB調査を行い,項目の精選を行った.また2022年度には,新たに活動領域によらない公衆衛生看護技術の明確化に取り組み,全国保健師教育機関協議会における夏季教員研修において,ワークショップを開催した.
2021年度から作成に取り組んでいる高齢者保健活動における公衆衛生看護技術に関して,①調査期間:2023年5月30日から6月30日,②調査対象者:会員校および日本保健師連絡協議構成団体,③調査内容:高齢者保健活動における公衆衛生看護技術の妥当性に関する意見,④方法:WEB調査 を行った.その結果,教育機関56件,行政機関2件から回答があった.各技術項目については,すべての項目に8割以上が「良い・ほぼ良い」と回答(85.7%~93.8%)であり,概ね妥当な項目であると考えられた.各項目について,妥当性に関する修正意見に基づき,委員会で審議し修正を行った.
2. 活動領域によらない公衆衛生看護技術の作成について2023年度は,前述した高齢者保健活動の公衆衛生看護技術の精選に平行し,新たに,「活動領域によらない公衆衛生看護技術」の作成に取り組んだ.作成の方法は,「親子保健活動における公衆衛生看護技術」(大木ら,2019)と「高齢者保健活動における公衆衛生看護技術」を基盤にし,保健師経験を有している教育研究者である委員が内容を吟味し「公衆衛生看護技術(案)」を抽出した.さらに全国保健師教育機関協議会夏季教員研修ワークショップにて「公衆衛生看護技術」(案)に関して,妥当性や修正に関する意見を取集し,修正を重ねている.
3. 全国保健師教育機関協議会夏季教員研修ワークショップの開催夏季教員研修ワークショップを2022年8月20日(土)10時から12時にオンラインで開催した.テーマは「公衆衛生看護技術の明確化の必要性と親子保健活動および高齢者保健活動技術の明確化について」であり,委員から「公衆衛生看護学技術の定義と明確化の必要性」について報告し,加えグループワーク約60分,まとめという流れで開催した.参加者は,事前登録者184名であり,事後のアンケートの結果,満足した者は9割を占めた.
当委員会においては,親子保健活動,高齢者保健活動における公衆衛生看護技術について概ね完成し,さらに活動領域によらない公衆衛生看護技術についても現在作成中である.今後は,これらを用いた教育方法を検討し,卒業時の公衆衛生看護技術の到達度を高めていくこと,さらにその技術を現任教育において継続的に習得し深めていけることを目指したい.
夏季教員研修にご参加いただいた皆様,WEB調査にご協力いただきました会員校等の皆さま,ありがとうございました.
担当:岩本里織(神戸市看護大学)
大木幸子(杏林大学)
滝澤寛子(京都看護大学大学院)
松原三智子(北海道科学大学)
入野了士(愛媛県立医療技術大学)
草野恵美子(大阪医科薬科大学)
伊木智子(関西看護医療大学)
長谷川美香(福井大学)
山田小織(福岡女学院看護大学)