保健師教育
Online ISSN : 2433-6890
委員会活動報告
国家試験委員会活動報告
国家試験委員会
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2023 年 7 巻 1 号 p. 55-56

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I. はじめに

国家試験委員会の活動として,作問に関する研修会の実施,国家試験内容調査および環境調査,国家試験問題投稿の3つの活動を主軸に行った.委員会はメールとオンライン会議で行った.

II. 活動結果

1. 国家試験問題作問に関する研修会の実施

国家試験委員会が企画する研修会として夏季教員研修会の第3分科会を担当した.「国家試験問題作問チャレンジ~入門編」をオンデマンド配信し,106人の申し込みがあった.研修後のアンケートの回答数は7件のみであったが回答者全員がとても良かったと答え,理由に試験問題作成やブラッシュアップの実際を学ぶことができたとあった.この入門編の後に実践編を企画する予定であったが,具体的な企画に進むことができなかった.

北海道,東北ブロックの北海道地区の企画で6月と2月に研修会を行った.6月はオンラインで行い,2月は対面とオンラインの併用で実施した.6月は作問演習,2月は内容調査に全体で取り組んだ.

2. 第109回保健師国家試験出題内容調査および環境調査

出題内容調査では88校の会員校から122件の意見が集まった.2校以上合同のチームは6件あった.検討の結果,不適切問題5問,改善を求める問題12問,良問として5問を挙げ,タキソノミー分布の推移(図1)を添えて厚生労働省医政局看護課に書面を提出した(書面はホームページに掲載).これに合わせ令和5年版保健師国家試験出題基準について,疫学学会等による文言の変更に応じた修正についての意見も提出した.

図1 

第103回~第109回タキソノミー分布の推移

環境調査では964名の受験生から回答を得た.例年とほぼ同様の結果であり,今年度の試験運営における目立った課題はなかった.最も多い指摘である荷物を床に置くのが気になる,という点については各養成施設で会場別の結果を参照し次年度以降受験生自らでの対策を講じて欲しい.

3. 国家試験問題投稿の取り組み

今年度は委員会で計画的に投稿問題作成に取り組み,一定数の投稿を行うことができた.国家試験委員以外にも参加者を募り,実践的な研修を兼ねて実施することができた.年々投稿数を増やし,多くの国家試験問題やその素材がプールされることは国家試験の質向上につながるため,今回の取り組みを会員校全体に広げられるよう今後の方策を検討したい.

III. 考察

保健師国家試験問題の質向上を目指す取り組みとして,国家試験の作問に関する研修を入門編と実践編に分けて準備することができた.それぞれ教材の準備ができたため,今後も積極的に活用していきたい.今後は通常の作問以外に,事例や図表などの素材の準備も取り上げていきたい.

また出題内容調査に良問についての具体的な意見を求める項目を設けた.国家試験問題の質向上には良問を知ることも大切であると改めて理解できた.作問研修の際にも良問を例に挙げることにより,問題の素材の投稿を推進することができると考える.

IV. おわりに

国家試験委員会では,会員校および受験生の意見を集めて分析することと併せて,研修および情報発信を積極的に実施したい.オンライン研修は少人数対象でも良いため,積極的に声を掛けて欲しい.今後も会員校と共に歩む委員会として活動する所存である.

Biographies

担当:播本雅津子(名寄市立大学保健福祉学部看護学科)

大西眞由美(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)

宇田優子(新潟医療福祉大学看護学部看護学科)

大谷喜美江(四日市看護医療大学看護医療学部看護学科)

齋藤公彦(福山平成大学看護学部看護学科)

関 美雪(埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科)

 
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