保健師教育
Online ISSN : 2433-6890
巻頭言
公衆衛生看護学教育モデル・コア・カリキュラムと保健師のコアコンピテンシー
岩本 里織
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2025 年 9 巻 1 号 p. 1

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一般社団法人全国保健師教育機関協議会(以下,本協議会)の機関紙であるオンラインジャーナル「保健師教育」の第9巻が発刊されました.この機会をいただき,公衆衛生看護学教育モデル・コア・カリキュラムについてご紹介をさせていただきます.

コアカリキュラムとは,専門職の養成において,全大学で共通する「コア」の部分を抽出し,体系的に整理したもので,医師,歯科医師,薬剤師,教師などについて作成されているものです.日本では,1990年代以降,教育の質を向上させるための取り組みが進められ,1998年教育基本法が改正され,「学習指導要領」の見直しが行われました.これにより,全国共通の学習内容や目標が明確に定められ,コアカリキュラムが導入されることとなったということです.

看護職教育においては,文部科学省により2017年10月に看護学教育モデル・コア・カリキュラムが策定され,今年度に看護学教育モデル・コア・カリキュラム改正版が公開されました.本協議会でも,2017年に「公衆衛生看護学教育モデル・コア・カリキュラム(以下,モデル・コア・カリキュラム)」を作成しておりましたが,2024年3月に改正版を公開しました.本協議会の加盟校は,大学院から養成校まで多様な保健師教育課程がございますが,このモデル・コア・カリキュラムを用いることで,どの教育課程においても一定の学習内容が担保されることを期待しております.

また,この改正版モデル・コア・カリキュラムでは,本協議会だけではなく,保健師関連団体により合意された「保健師のコアコンピテンシー」の獲得を目指し,具体的な教育目標を設定しております.現状の保健師基礎教育においては,厚生労働省が作成した「保健師教育卒業時の技術到達度」があり技術教育の参考にしていましたが,コンピテンシーについては統一見解のものはありませんでした.一方,保健師の実践現場においては,厚生労働省が作成した自治体保健師の標準的キャリアラダーで示されているコンピテンシーが用いられています.このように保健師教育機関と実践現場が用いているコンピテンシーは共通しておりませんでした.保健師関連団体が合意したコアコンピテンシーをモデル・コア・カリキュラムに用いることにより,今後は保健師基礎教育と現任教育とが継続し一貫した教育体制が構築できることを期待しております.

会員校の皆様には,本協議会の活動へのさらなるご理解とご協力をお願い申し上げます.

 
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