現代社会学研究
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新自由主義的改革に対する意識構造の世代間差異
2005年SSM 調査データの分析から
濱田 国佑
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2013 年 26 巻 p. 1-17

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抄録
本論文では,2005年に実施されたSSM 調査データを用い,新自由主義的な 政策支持と社会に対する閉塞感との関連,さらには社会的不平等感との関連に ついて,世代的な差異に着目しながら検討を行った。 世代別に新自由主義的な政策支持を従属変数にして重回帰分析を行ってみた ところ,「規制緩和支持」に対して「再配分志向」が影響を与えていた。また, 「権威主義」および「閉塞感」については20~34歳の世代でのみ効果が認めら れた。「民営化支持」に対しては,「閉塞感」の効果は見られないものの,20~34 歳の世代で「再配分志向」の効果が見られた。以上の分析結果から,小泉政権 による新自由主義的な改革に対する支持の一因として,「再配分」を求める意識 および「閉塞感」が一定の影響力を持っていることが明らかになったと言える。 次に,構造方程式モデリングによって若年層における意識間の関連について 検討を行ったところ,「閉塞感」から「再配分志向」を経由して新自由主義的な 政策支持に影響を与える間接効果の存在が確認された。「閉塞感」と「再配分志 向」がそれぞれ独立に影響を与えているわけではなく,「閉塞感」を感じる人ほ ど「再配分志向」を高め,それが新自由主義的な政策支持に影響を与えている ことが明らかになった。
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© 2013 北海道社会学会
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