現代社会学研究
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近代世界システムにおける英仏植民地獲得行動の多変量時系列分析
覇権国、非覇権国でのメカニズムの違い
八尋 隆蔵
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1991 年 4 巻 p. 58-80

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抄録

本研究は、近代世界システムのイギリス覇権期における、イギリス、フランスの植民地獲得行動を分析し、両国でのメカニズムの違いを明らかにする。
従来の研究は、全中心国の植民地獲得行動のメカニズムは同一だとしてきた。その主な仮説は次の通りである。(1)経済縮小期に植民地数は増加し、拡大期は減少する。(2)覇権国が存在する期間、植民地数は減少する。(3)中心国間戦争、および中心国における市民戦争の発生は、植民地数を減少させる。
しかし、イギリス覇権期には(2)の仮説は当てはまらない。また、覇権国イギリスと非覇権国フランスでは、その経済力、社会構造、貿易政策などにきわだった相違がある。このため、両国の植民地獲得行動のメカニズムは異なるものとなる。
ここで提示する仮説は次の通りである。(1)覇権国イギリスの場合、経済縮小期に植民地数が増加し、拡大期は減少する。(2)フランスの場合、経済拡大期に植民地数が増加し、縮小期は減少する。(3)中心国間戦争、および中心国における市民戦争の発生は、植民地数を減少させる。
仮説(1)、(2)は、多変量ARIMAモデルである伝達関数モデルによって実証される。

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