北陸作物学会報
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播種期の移動が「しなの夏そば」の生育及び収量に及ぼす影響
林 久喜小松 宏光土屋 弘道
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1989 年 24 巻 p. 67-70

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抄録
「しなの夏そば」の播種期を移動したときの生育相, 形態的特性及び収量性の違いについて検討した。1.「しなの夏そば」を夏播種すると, 春まきに比し開花始期, 開花最盛期及び成熟期が早まり, 8月上旬播種で生育日数が最も短く, 約50日で成熟期に至った。これは, 「信濃1号」に比し20日程度短い値であった。2.「しなの夏そば」を夏播種すると, 節間伸長が抑制されて, 草丈及び初花節位高が減少し, 分枝長が減少した。一方, 初花節位は春まきと変わらなかった。個体の花房数も夏まきで減少したが, この減少は主に分枝花房数の減少によっていた。3.「しなの夏そば」を夏播種すると, 春まきに比し子実重が減少した。しかし, 8月上旬頃の播種における子実収量は「信濃1号」とほぼ等しかった。一方, 夏まきで茎重も減少したが, 子実重歩合は春まきより高くなり, 作期の移動による生長の抑制は生殖器官よりも栄養器官で大きかった。4.以上の結果, 「しなの夏そば」の夏まき栽培は, 収量性からみて十分成り立つ技術であることが明らかとなった。更に, 生育日数は「信濃1号」に比し20日程度短縮するので, 他作物との収穫時期の競合を回避でき, その結果, 適期収穫により脱粒損失の低減が図られると共に, 生育期間の減少により作付体系の中に組み入れ易くなるものと考えられた。
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© 1989 北陸作物・育種学会
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