2019 年 29 巻 1 号 p. 45-51
近年,新たな食料資源として昆虫が注目を集めている.乾燥地域であるナミビアにおいても,モパネワームをはじめとして様々な昆虫が日常的に食されており,地域の生態環境と関わる昆虫食が展開している.昆虫は決して他に食べる物がないために食べられているわけではなく,他の食品と比較しておいしいとみなして食されていた.乾燥・半乾燥地域は資源に乏しいと思われがちであるが,ナミビアにおける多種多様な昆虫の食利用の形態に代表されるように,自然資源の利用は多様である.これは乾燥地の文化多様性を示すものである.