2013 年 22 巻 p. 95-102
本書はシベリア先住民と彼らをとりまく自然環境の様態を明らかにすることを目的とした、シベリア地域研究の入門害とも言うべき論文集である。本書においてとりあげられているシベリア先住民はシベリアの全人口の4%にも満たないが、その内部は40以上もの民族集団を有するという多様性に富んだ人々である。序において述べられているように、本書はそのような「シベリア先住民の人々が暮らす自然環境について、そしてその厳しい環境に適応してきた人類史について、さらに先住民の言語や伝統文化、ロシア人との関係や、近代インフラがこの極寒の地でいかなる形で営まれているのかを詳らかにしようとする試み」(p.20)である。