The Horticulture Journal
Online ISSN : 2189-0110
Print ISSN : 2189-0102
ISSN-L : 2189-0102
原著論文
シマオオタニワタリを用いた緑のカーテンによる室内の二酸化炭素およびホルムアルデヒドの除去
Ying-Ming SuChia-Hui Lin
著者情報
ジャーナル オープンアクセス HTML

2015 年 84 巻 1 号 p. 69-76

詳細
抄録

本論文では,鉢植えの植物で壁面を覆うことによる空気中の汚染物質の除去効果を評価した.多くの人間は 80–90%の時間を室内で過ごすことから,室内の気体環境は非常に重要である.二酸化炭素とホルムアルデヒドは最も重大な汚染物質であり,鉢物は生活に潤いを与えるだけでなく,これらの汚染物質を取り除きうる.今回は私たちの既報に従って,蒸散速度が速く室内でも容易に育つシマオオタニワタリ(Asplenium nidus Linn.)を用いることとした.3 つの処理区,すなわち二酸化炭素,ホルムアルデヒド,さらに二酸化炭素とホルムアルデヒドの同時処理を設けた.その結果,シマオオタニワタリは開始時に 2000 ppm であった二酸化炭素濃度を 800 ppm まで,ポットあたり平均 1.984 ppm/ 時の速度で除去した.また,開始時に 2 ppm であったホルムアルデヒドを 0.1 ppm まで,ポットあたり平均 0.003 ppm/ 時の速度で除去した.緑のカーテンは室内の温度を 2°C 下げ,相対湿度を 10%上昇させた.以上のことから,シマオオタニワタリは二酸化炭素とホルムアルデヒドの除去能力が高く,温度を下げ湿度を上昇させる効果があることが明らかとなった.

著者関連情報
© 2015 The Japanese Society for Horticultural Science (JSHS), All rights reserved.
前の記事 次の記事
feedback
Top