The Horticulture Journal
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原著論文
ウンシュウミカン(Citrus unshiu Marc.)の 2 つのジベレリン 20 酸化酵素遺伝子の単離と発現解析ならびに形質転換シロイヌナズナを用いた機能解析
古藤田 信博松尾 哲本多 一郎矢野 加奈子清水 徳朗
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2016 年 85 巻 2 号 p. 128-140

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抄録
ウンシュウミカンは,2 つのジベレリン 20 酸化酵素遺伝子(CuGA20ox1CuGA20ox2)を有し,CuGA20ox1 のゲノム配列は CuGA20ox2 のそれより短く,CuGA20ox1 のコード領域は CuGA20ox2 のそれより長かった.サザンブロット解析により,他のカンキツ品種及びカラタチも少なくとも 2 つのタイプのジベレリン 20 酸化酵素遺伝子を有していることが示された.CuGA20ox1CuGA20ox2 の発現は組織において異なっており,CuGA20ox1 は生殖組織より栄養組織において比較的高い発現が見られたのに対し,CuGA20ox2 は開花直前の花雷に特異的に発現が見られた.これらの異なる発現様式は,進化の過程で上記 2 つの遺伝子の機能が分化したことを示唆している.CuGA20ox1CuGA20ox2 を異所的に発現した形質転換シロイヌナズナは花序が伸長したが,開花時期には変化が見られなかった.また,CuGA20ox1CuGA20ox2 の発現は,早期非水酸化経路上の GA24 と GA34 の産生に有意に影響を与えた.同様に早期水酸化経路上の GA19,GA29 及び GA8 の産生にも影響を与えた.これらの結果を考慮すると,CuGA20ox1 および/あるいは CuGA20ox2 は,早期水酸化経路及び早期非水酸化経路のどちらも活性化して活性型ジベレリンを増加させ,形質転換シロイヌナズナの花序伸長を引き起こしたと考えられる.
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