抄録
本研究では,反動動作を用いた垂直跳び(FVJ)と反動動作を制限した垂直跳び(LVJ)の跳躍高を測定し,各々の跳躍高と下肢筋力との関係を性別に検討した。対象は,健常成人34名(男性18名,女性16名)とした。測定は,FVJ およびLVJ における跳躍高と下肢筋力(膝関節伸展筋力および足関節底屈筋力)とし,各々の関係を性別にピアソンの相関係数を用いて検討した。分析の結果,男性におけるFVJ の跳躍高は,下肢筋力との間に有意な相関を認めなかったが,LVJ の跳躍高は足関節底屈筋力との間に有意な相関を認めた。一方,女性におけるFVJ およびLVJ の跳躍高は,膝関節伸展筋力との間に有意な相関を認めたが,足関節底屈筋力との間には有意な相関は認められなかった。以上の結果より,男性では反動動作と足関節底屈筋力を効率よく跳躍高に反映させているが,女性では反動動作を効率よく跳躍高に反映できず,膝関節伸展筋力に依存した跳躍を行なっている可能性が示された。