抄録
ハウス栽培,気温および日長がニホンナシ‘ゴールド二十世紀’の芽の自発休眠の導入に及ぼす影響を調査した.ハウス栽培区は露地栽培区に比べて20日程度花芽分化を促進したが,花芽および葉芽の自発休眠導入期には影響を与えず,自発休眠打破期への影響もわずかであった.ポット樹を用いて長日処理および温度処理の影響を調査したところ,自発休眠導入期の加温は導入を阻止したが,16時間日長は導入を阻害しなかった.そこで,自発休眠導入に有効な温度の調査を行ったところ,5℃は自発休眠の導入に有効であったが,15℃は自発休眠の導入を阻害した.11月中旬の露地区における葉芽のABA含量は,低温による自発休眠の導入に伴い上昇したが,加温区では低い値を示した.このように,ニホンナシ‘ゴールド二十世紀’の葉の自発休眠は,主として秋季の低温によって誘導されるものと考えられた.