園芸学研究
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育種・遺伝資源
‘桜島ダイコン’の根重および空洞症のダイアレル分析
田中 義弘桑鶴 紀充永田 茂穂
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2011 年 10 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

‘桜島ダイコン’の根重や空洞症に関する遺伝情報を得るために,自殖により固定した8近交系統を用いて片側ダイヤレル分析を行った.根重については,広義の遺伝率が高く狭義の遺伝率が低かった.また,平均優性度は1.65と1以上を示したことから,超優性の形質であると推定された.根重において,優性遺伝子の作用方向は形質値を増加させる方向であった.空洞症の大きさを示す空洞面積率は,広義および狭義の遺伝率ともに低かったことから,環境の影響を受けやすいと考えられた.また,平均優性度が0.91と1に近く,完全優性に近い不完全優性の形質と推定された.空洞症の発生において,優性遺伝子の作用方向は形質値を減少させる方向であった.従って,‘桜島ダイコン’において根の大きな品種育成には,優性効果を効果的に利用できるF1育種が有効と考えられた.しかし,空洞症は環境に影響されやすい形質であることが明らかになったことから,育種時の選抜には注意が必要であると考えられた.

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