2013 年 12 巻 1 号 p. 109-114
寒害と思われるキャベツ内部黒変症状の発生原因究明を目的に,内部黒変症状発生個体の観察,キャベツ結球内部の温度変化,植氷がキャベツ葉の斑点形成に及ぼす影響について検討した.冬季のキャベツ結球内空隙では水滴の凍結が観察された.結球内空隙では晴天時に急激な温度上昇がみられた.キャベツ葉を−5℃で植氷すると60分でほぼ全葉で斑点形成が認められた.凍結後,−5℃から20℃の環境に移したところ,死細胞の発生が認められた.急激な融解が細胞を損傷させたものと考えられた.このことから,結球内空隙の水滴の凍結と急速融解は死細胞発生の原因となることが明らかになり,キャベツ内部黒変症状はこの現象による死細胞発生と関連があることが示唆された.