園芸学研究
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栽培管理・作型
夏季の剪定と施肥によるブドウ‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’12月加温樹の無機窒素栄養条件の改善
田村 史人村谷 恵子藤井 雄一郎久保田 尚浩森永 邦久
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2013 年 12 巻 2 号 p. 147-154

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抄録
夏季施肥および夏季剪定が12月加温のブドウ‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’の溢泌液および葉柄中の無機態の窒素濃度に及ぼす影響を検討した.養液栽培したブドウ9樹に3水準の施肥と3種類の剪定手順を組み合わせた処理を行った.すなわち,夏季剪定して冬季に5芽で剪定した樹,夏季剪定して冬季に1芽で剪定した樹および夏季剪定しない慣行の枝管理樹について,収穫後夏季(6~7月)に3水準(窒素施肥量で15,10および5 g・m−2),秋季(9~10月)には一定量(窒素量で12 g・m2)の化学肥料を施用し,12月から加温栽培を行い,溢泌液中および葉柄中の無機窒素レベルを測定した.その結果,溢泌液中の無機窒素濃度に及ぼす夏季施肥および夏季剪定の影響は判然としなかった.結実期の葉柄中の硝酸態窒素濃度は,10および15 gN・m2を前年夏季に施用した樹が5 gN・m2施用樹より高く,夏季施肥は翌年の樹体内無機窒素濃度に影響を及ぼすと考えられた.さらに,夏季剪定も葉柄中の窒素濃度に影響を及ぼし,夏季剪定によって結実期の葉柄中の硝酸態窒素濃度が高まった.しかし,冬季剪定の剪定強度は葉柄中の窒素濃度に影響を与えなかった.
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© 2013 園芸学会
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