園芸学研究
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発育制御
キクの電照栽培における電照期間と花芽分化抑制に必要な放射照度との関係
白山 竜次永吉 実孝郡山 啓作
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キーワード: 開花, 夏秋ギク, 蛍光灯
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2013 年 12 巻 2 号 p. 195-200

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抄録

夏秋ギク‘岩の白扇’および秋ギク‘神馬’を用いて,電照期間と花芽分化抑制に必要な放射照度との関係について試験を行った.電照期間は定植から20~60日までの5区(‘神馬’は70日までの6区)を設置し,各区における光源からの距離と光量減衰を利用して放射照度ごとに展開葉数の調査を行った.展開葉数が増加から一定値へと変化する放射照度の閾値の推定は,2本の直線による折れ線回帰分析を用いた.‘岩の白扇’では,電照期間が長くなるにつれて,花芽分化抑制に必要な放射照度の閾値が高くなったが,電照期間50日以降は閾値が急激に高くなり,電照直下付近の放射照度180~261 mW・m−2でも,電照中から花芽分化が開始された.一方,‘神馬’も電照期間が長くなるにつれて,花芽分化抑制に必要な放射照度の閾値が高くなったが,その程度は緩やかで,電照期間70日でも110 mW・m2以上の放射照度で十分に花芽分化が抑制された.以上のことから,キクでは電照期間が長くなると花芽分化抑制に必要な放射照度の閾値が高くなることが明らかとなった.その程度には品種間差があり,‘神馬’に比較して‘岩の白扇’で顕著であった.

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