園芸学研究
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発育制御
カキ‘太秋’のホルクロルフェニュロン展葉期散布処理によるへたの巨大化とへたすきへの影響
新川 猛鈴木 哲也
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2013 年 12 巻 3 号 p. 297-302

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抄録
カキのへたすきは,へたの大きい果実ほど発生が少ないことが報じられているが,直接的にへたを大きくする方法はない.そこで,我々は,へたを大きくさせる可能性のある植物成長調節物質としてホルクロルフェニュロンに注目した.10 ppmのホルクロルフェニュロン溶液をハンドスプレーにより,へたの細胞分裂が最も盛んであると考えられる展葉開始期に散布したところ,へたの幅が26%広く,へたの頂点間の長さが約15%長くなり,へたが巨大化した.また,処理区におけるへたすき果の発生率(16.1%)は,無処理区における発生率(46.9%)より低かった.また,各果実のへたすきの程度を,無,微,小および中の4段階に区分して評価し,各カテゴリーに属する果実数のデータを用いて,順序カテゴリーデータに対するWilcoxon検定を行った結果,処理区と無処理区の間に1%水準の有意差が認められ,処理によりへたすき発生程度が減少した.果実品質については,果実重は無処理区と比べて大差はなかったが,着色程度と糖度はやや低下し,成熟遅延の傾向が認められた.
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© 2013 園芸学会
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