抄録
ストックにおいて赤色(R:600~699 nm)光から遠赤色(FR:700~799 nm)光の領域における光質が生育・開花に及ぼす影響を調査した.実験1では‘雪波’および‘ホワイトアイアン’を供試し,R光およびFR光のLEDを用いた混合照射によってR光とFR光の割合(R/FR)を0.02~277として終夜照射した.両品種においてほとんどの光照射区で茎伸長および花成が促進され,‘雪波’ではFR光の割合がR光よりも高い区(R/FR 0.02~0.7)で茎伸長および花成が顕著に促進された.‘ホワイトアイアン’では,FR光のLEDのみの照射(R/FR 0.02)よりも,R光とFR光の両方を含み,FR光の割合が高い場合(R/FR 0.15~0.7)に最も強く花成が促進された.実験2および3では‘ホワイトアイアン’を供試し,ピーク波長が628~742 nmの7種のLED電球を用いて終夜照射した.ほとんどの光照射区で茎伸長および花成が促進され,709,725,742 nm区で特に強く促進された.これら3つのLED処理区の中では,709 nmのLEDを処理した区において着花節位が最も低くなり,花芽分化が最も早くなることが示唆された.また,照射光の波長分布が異なる場合でも,茎伸長および花成への影響はフィトクローム平衡値との関連が見られた.