園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
−2°C貯蔵終了後のニンニクの根,芽の伸長抑制に適する高温処理条件
山崎 博子庭田 英子矢野 孝喜長菅 香織稲本 勝彦
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キーワード: 長期貯蔵, 熱処理, 周年出荷
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2015 年 14 巻 4 号 p. 397-402

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抄録
ニンニクの周年出荷は−2°Cで長期貯蔵したりん茎を利用して行われる.市場では貯蔵終了後の根の伸長によって商品価値が低下する場合があることから,これを抑制する技術が求められている.本研究では,−2°C貯蔵終了後の根の伸長抑制に適する高温処理条件を時期別に明らかにすることを試みた.収穫・乾燥後の8月から−2°Cで貯蔵したりん茎を10~6月に約1か月間隔で出庫し,39,41,43°C・12時間の高温処理を行い,15°Cで4週間保管後の根の伸長を調査した.根の伸長は39°C区では12月以降,41,43°C区では10月以降のすべての処理月で抑制された.実用的に十分な効果(処理4週間後の根長1 mm未満)は39°C区では2月以降,41°C区では11月以降,43°C区では10月以降のすべての処理月で認められた.39,41°C区の効果は2月頃まで処理時期が遅くなるほど高まったが,43°C区の効果は11~6月処理より10月処理の方が高かった.根の伸長抑制効果および処理コストの点から,処理温度には10,11月は43°C,12,1月は41°C,2月以降は39°Cが適すると考えられた.10,11月の43°C処理では9時間まで,12,1月の41°C処理および2月以降の39°C処理では6時間まで処理時間の短縮が可能であった.選定した12月以降の高温処理条件は概ね芽の伸長抑制にも有効であった.
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© 2015 園芸学会
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