2016 年 15 巻 3 号 p. 283-289
リンゴの主要4品種において,摘果期間早期の落果量を増加させる摘花剤がもたらす摘果期間全体での省力効果および果実肥大促進効果を検証し,各品種における効率的な薬剤摘花・摘果の方法を検討した.頂芽果落果率や腋芽の結実花そう率の違いから,薬剤摘花・摘果の効果は品種により異なった.‘つがる’および‘ジョナゴールド’では,摘花剤単用は腋芽の結実花そう率が高いために腋芽果の摘果に時間を要し,省力につながらなかった.果実肥大を考慮すると,両品種においては摘花剤と摘果剤の併用が最も効果的であった.‘シナノスイート’では,薬剤摘花・摘果による摘果作業の省力効果はなかったが,果実肥大が促進されることから摘花剤散布が有効であった.‘ふじ’では,人工受粉によって果実重と種子数が増加するため,人工受粉をしたうえで摘花剤と摘果剤を併用することにより,摘果作業を大幅に省力しつつ果実肥大を期待できる.摘花剤単用は摘果剤単用より省力効果があった.