2016 年 15 巻 4 号 p. 445-452
チューリップ切り花では,花茎の伸長と葉の黄化が観賞価値を低下させる.そこで,異なる濃度のエテホン,6-ベンジルアミノプリン (BA) およびジベレリン (GA3) を用いた前処理が,チューリップ‘クリスマスドリーム’ 切り花の品質保持に及ぼす影響を調査した.25, 50および100 mg・L–1のエテホン処理により花茎の伸長は抑制されたが,花の品質保持期間は約2日間短くなった.5, 25および125 mg・L–1のBA処理は葉の黄化を抑制したが,花の品質保持には効果がなかった.GA3処理は葉の黄化抑制にわずかな効果しかみられず,花の品質保持にも効果がなかった.そこで,50 mg・L–1エテホンと25 mg・L–1 BAを組み合わせた前処理を行ったところ,花茎の伸長と葉の黄化が同時に抑制された.他のチューリップ切り花7品種においても,同様の結果が得られた.以上の結果から,エテホンとBAを組み合わせた前処理がチューリップ切り花の花茎伸長および葉の黄化の抑制に有効であると結論した.