2017 年 16 巻 1 号 p. 95-104
品質保持効果の高いイチゴ果実の輸送方法を確立することを目的に,新型容器およびMA包装を併用してイチゴ2品種を東南アジア2か国へ航空便および船便にて輸送し,品種別に包装資材を検討した.その結果,航空便においては‘福岡S6号’は伸縮性フィルム容器,‘おいCベリー’は宙吊り型容器を用いることで損傷程度の低減効果や果実硬度低下の抑制効果が期待できることが明らかになった.容器による品質保持効果が品種によって異なったことから,イチゴ果実の輸送において,容器および品種選定の必要性が示唆された.また,船便においては,損傷程度は新型容器により概ね低減されるものの,MA包装を併用することにより維管束のにじみなどが防止できることが明らかになり,新型容器に加えてMA包装の使用が推奨された.なお,MA包装の有無や品種,輸送条件を問わず損傷程度は損傷した果実の割合と高い相関を示し,イチゴにおいては損傷した果実の割合を元に損傷程度を評価できると考えられた.また,損傷する果実の割合を低下させるよう容器を改良することで,果実の損傷程度をより低減できる可能性が示唆された.