園芸学研究
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栽培管理・作型
トマトの低段密植栽培における開花揃いに及ぼす出芽揃いの影響
中山 正和中山 幸司切岩 祥和鈴木 克己糠谷 明
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2017 年 16 巻 2 号 p. 149-154

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抄録

トマトの低段密植栽培において出芽日と第一花房開花日との関係を明らかにするために,トマト ‘CF桃太郎ヨーク’を2014年4月15日,6月20日,8月19日,12月16日, 2015年4月21日,9月20日に播種し株ごとに播種から出芽までに要した日数(出芽所要日数)と出芽から開花までの到花日数を調査した.出芽所要日数ごとの到花日数は4, 6, 8, 9月播種では36.4~39.6日と差はなかったが,12月播種では49.8~62.0日と有意に大きくなった.すべての実験で出芽は播種3日後から始まったが,播種後4~5日までの出芽率とすべての株の第一花房が開花するまでの日数には負の相関(r = –0.88) があった.また,128穴セルトレイにおいて播種時の灌水量を3, 6, 9, 16 mL/穴としたときの播種3日後の出芽率は,それぞれ82.3%,72.9%, 59.4%, 29.2%となり3および 6 mL/穴区で16 mL/穴区よりも有意に高くなった.さらに,種子にマトリックプライミング処理を行うと無処理の場合と比べ,播種から出芽率80%に達するまでの期間は24 h,80%の株で第一花房が開花するのに要する期間が5日それぞれ短くなった.以上のことからトマトの低段密植栽培では,特に冬作において第一花房の開花を揃えるために出芽揃いは重要であり,出芽を揃えるためには培地含水率が重要であった.またマトリックプライミング処理は出芽揃いと開花揃いを改善した.

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