2017 年 16 巻 2 号 p. 155-161
キュウリ促成栽培において,午後より午前のハウス内気温を高める温度管理と,午前より午後のハウス内気温を高め日没とともに気温を急速に低下させる温度管理(PMHT・QD処理)が生育,果実成長および収量に及ぼす影響について比較し検証した.その結果,PMHT・QD処理により収穫所要日数の短縮,平均1果重の増加が認められ,果実成長を促進することが明らかになった.一方,PMHT・QD処理により,寡日照時期においては葉の成長や側枝の発生が抑えられ,収穫果実数が減少したため,総収量には処理による違いはみられなかった.PMHT・QD処理が植物体温度に及ぼす影響を解析するため熱画像撮影を実施した結果,日没後の葉と果実の表面温度差が大きく保たれていることが明らかになった.以上のことから,PMHT・QD処理により日没時の果実表面温度を葉温より高く保つことが果実成長を促進する要因の一つである可能性が示された.