2017 年 16 巻 2 号 p. 169-175
赤色リーフレタスの春どり栽培において,近紫外線除去(UVA) 機能のあるフィルムの被覆が生育と着色に及ぼす影響と被覆解除後の着色の回復について調査した.栽培期間中の日平均気温と日積算照度はUVAフィルム被覆下と紫外線を透過するフィルム被覆下で差はみられなかった.薄色品種 ‘レッドファイアー’,‘レッドファルダー’,‘アーリースパン’ の生育にはUVAフィルム被覆による影響がみられなかったが,濃色品種‘バラエティ濃赤’,‘ブラックローズ’,‘TLE-496’では同被覆により生育が促進した.UVAフィルム被覆により葉のアントシアニン含量は薄色の3品種で28~38%,濃色の3品種で60~72%それぞれ低下した.一方で,‘レッドファイアー’以外の5品種では,UVAフィルム被覆解除によってアントシアニン含量が増加した.‘ブラックローズ’と‘バラエティ濃赤’では,被覆解除後のアントシアニン含量の増加が被覆解除後の積算近紫外線量が600 W・h・m–2付近に達するまでの期間に集中した.