園芸学研究
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育種・遺伝資源
軟X線照射によって育成したカンキツ新品種 ‘南津海シードレス’ の特性とその無核果の要因
兼常 康彦岡崎 芳夫宮田 明義西岡 真理池田 行謙藤本 敬胤
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2017 年 16 巻 4 号 p. 409-414

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抄録

‘南津海’の無核化を目的に,突然変異を誘発する放射線の一つである軟X線を‘南津海’の穂木に照射した.その穂木を高接ぎして,得た果実について含核数を主とした調査を行った結果,種子数が極めて少ない個体を選抜し,‘南津海シードレス’ を育成した.‘南津海’の種子数は1果実当たり9個程度,無核果率は0%であるが,‘南津海シードレス’では0.2個と極めて少なく,無核果率も85.0%と高かった.種子数を除く果実特性や樹体特性は,‘南津海’とほぼ同様であった.ナツダイダイの花粉を‘南津海シードレス’および‘南津海’の花に授粉した結果,‘南津海シードレス’のみに無核果実が認められ,その割合が高かったことから,‘南津海シードレス’は雌性不稔性を有すものと考えられる.また,‘南津海シードレス’の花粉稔性率は1.9%で,‘南津海’およびナツダイダイの花粉と比べて顕著に低かったこと,これら3品種の花粉を‘南津海’の花に授粉した場合,他の品種では着果が認められたが‘南津海シードレス’の花粉では着果が認められなかったことから,‘南津海シードレス’では雄性不稔性も有している.これらの結果から,‘南津海シードレス’は,雌性不稔性と雄性不稔性の両方を有していることが明らかとなった.

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