2003 年 2 巻 2 号 p. 89-92
培地の乾燥処理にともなうトルコギキョウ(Eustoma grandiflorum (Raf.) Shinn. ‘つくしの雪’)のロゼット化と日中の葉温上昇との関係について検討した.高温条件下(27-33℃)におけるロゼット株率は,土壌含水率を常に40%以上に保った対照区では0%となったのに対して,土壌含水率25%をかん水点として9週間管理した乾燥区では70%と高い値を示した.また,より高い温度条件下(29-35℃)ではわずか1週間の乾燥処理でもロゼット株率が高くなった.対照区の葉温と培地温は気温(30℃)とほぼ同じであったが,強日射時には乾燥区の葉温と培地温は約45℃に達した.以上の結果から,培地の乾燥によって生じる水ストレスは,強日射条件下で高温感応部位を含む植物体温を高めることによって高温条件下におけるトルコギキョウのロゼット化を助長するものと考えられた.