2021 年 20 巻 1 号 p. 73-78
リンゴの果皮のクロロフィル含量を非破壊で計測するために,携帯型分光計を用い,果皮を透過した650~740 nmの波長域の拡散反射光の反射率を非破壊で測定し,部分的最小二乗回帰分析を行いクロロフィル含量の推定モデルを作成した.その結果,2018年産の ‘あかね’,‘さんさ’,‘きたろう’,‘ジョナゴールド’ および ‘ふじ’ において,決定係数r2 = 0.918~0.982と高精度にクロロフィル含量を推定することができた.2018年産の ‘きたろう’ で作成した同推定モデルで,2019年の上記5品種および ‘トキ’ のクロロフィル含量の検証を行ったところ,決定係数がr2 = 0.919~0.981と高く,誤差も小さく推定できた.また,すべての品種でクロロフィル含量とこれまで収穫適期の指標として用いられてきた地色やデンプン指数との間に高い相関がみられた.推定モデルは今回試験した温度帯では果実温の影響は少なかった.以上のことから携帯型分光計を用い,果皮のクロロフィル含量を迅速かつ高精度に測定き,リンゴの収穫期判定に活用できる可能性が示唆された.